恐くない不破の滝
「不破の滝」
「林道入口の注意書き」
不破の滝。あくまで仕事の帰りに寄っただけです。サボタージュではありません。
学生時代、深夜に車で訪れて以来二十年ぶりでしょうか。車でもすぐそばまで登攀できるはずですが、今回は林道入口の駐車場に停め、徒歩で向かいました。なにやら不穏な注意書きがあります。ツキノワグマに殺されるのも恥ずかしいので、用心の為に拳大の石を握りしめ、滝へ向かいました。カーナビの距離計測で、滝までの林道は直線1キロほどでした。
ところが、左程にきつくもない勾配が、果てしなく長く感じます。すり減った軟骨特有の痛みに股関節や膝が悲鳴をあげています。ようやく到着してみれば、落石による立入禁止の立て札が不動尊堂の前にありました。厳重に封鎖されているわけではないので、行政の責任回避処置のひとつだろうと判断して滝壺まで下りました。深夜にはあれほど不気味に見えた滝壺も、水無月の空のもとでは美しいばかりです。とはいえ、霊験な雰囲気に気押されて長居はできません。大量の毛虫を振り払いつつ、そそくさと滝を離れました。
熊注意の張り紙のおかげで、行き帰りに見た景観が新鮮に思えました。苦痛を背負って俯き歩く普段と異なり、四囲に気を配り、耳を澄ませて歩くのは至極愉快です。
ところで不破の滝。養老の滝とは雌雄の関係らしく、たしかにロケーションはとても似ています。ただ、途中の林道には売店も茶屋もなく、平日の午後四時ぐらいでしたが、誰とも会いませんでした。僕がもし所有者なら、滝までの林道一帯をお化け屋敷のようなアトラクションにして人を呼びたいです。
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